介護と住宅の両者は、実は切り離せない関係にあります。介護の現場が施設であれ訪問先であれ、利用者の日常生活が密接に居住スペースと結びついている以上、そこでの住宅環境を無視することはできないからです。利用者の日常生活を支援する、対人援助を専門とする仕事であるならば、利用者のQOL向上のために住宅についても自発的に改善していく姿勢が求められます。普段から介護職として働いていれば、居住スペースに何かしらの問題点を発見することもあるはずです。たとえそれが大したものに見えなくても、利用者からするとQOL向上の妨げになっているかもしれません。少しでも居住スペースに問題点や改善点を発見したら、スムーズに対応できる仕組みを作っておくことが、介護の現場では必要になります。
例として、住宅改善のネットワークづくりもその1つに挙げられます。まずは介護士をはじめ社会福祉士や看護師あるいは保健師など、居住スペースの問題点を発見しやすい専門職同士が、普段から住宅環境について情報を共有できる機会を設けることが大切。そのうえで、理学療法士や作業療法士あるいはリハビリ工学士等が加わり、建築士や施工業者の選定から打ち合わせまでのプロセスを、あらかじめ綿密に決めておくことが理想です。
また研修などで介護職が見取り図の書き方を訓練して、住宅環境の問題点を洗い出せるように、技術や知識を身に着けることも有効です。自ら見取り図を描くことで、問題点を把握するだけではなく、多様な専門職が互いに資料として情報共有もできるので、結果的に利用者のQOL向上につなげることが可能になります。
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